藪椿[今日の一輪]

「紫者 灰指物曽 海石榴市之 八十街尓 相兒哉誰」 (作者 不明)
「むらさきは はいさすものそ つばいちの やそのちまたに あへるこやたれ」

むらさきの媒染剤としての「*藪椿」の灰(山灰と称す)を用いられる事は古くから知られ、アルミニウムイオンを多く含む植物としてヤブツバキの灰が用れたことは、古くから日本人の色に関する研究がなされていたということなのだろうか。

ヤブツバキ(藪椿)
ヤブツバキ(藪椿) posted by (C)ドラ猫

今では想像も出来ない程度の川でしかないのだが「*海石榴市」は、大和川の上流(初瀬川河畔に位置し)「仏教伝来の地」とされ(石碑あり)ている。

何年か前に奈良県桜井市にニチイ(サティ)があった(現在は、ヤマト桜井SC)を京都方面(JR三輪駅方面)に進み右に折れると金屋という地名の集落があり其処には、今でも海石榴市観音堂がひっそりと残されている。

後年(平安時代)には、伊勢詣や長谷寺詣での宿場町としても栄、「源氏物語」の玉葛の巻でも記されています。
三輪山の麓の山の辺の道、現在の近鉄大阪線名張方面へと沿うように初瀬街道、明日香からの磐余の道、山田道などが集まるところで、市が立ちとして栄えたようです。

「海石榴市」の地名は三輪山麓では椿の木が多く「椿の多くある土地の市」ということだろうか。
古事記」や「万葉集」に見られる「歌垣」もこの地で催され、若い男女の恋愛歌が交わされたのだろうか。

ヤブツバキの別名としてツバキ,ヤマツバキ,ホウザンツバキ,タイワンヤマツバキともよぶが下の画像は、
ヤマツバキと呼ばれているもので、開花から2月までは花弁に青灰色が入り梅が開花をし始めてから咲く花は、通常の明紅色。

ヤマツバキ(山椿)
ヤマツバキ(山椿) posted by (C)ドラ猫

ヤブツバキ:Camellia japonica L.  ヤブツバキ 標準 
Camellia japonica L. f. grosseserrata Uyeki  ヤブツバキ  
Camellia japonica L. f. lancifolia H.Hara  ヤブツバキ 
Camellia japonica L. f. parviflora Makino  ヤブツバキ 
Camellia japonica L. subsp. hozanensis (Hayata) Kitam.  ヤブツバキ
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-

u.jp/bgplants/ylist_main.html(2008年12月10日)

注、むらさき(紫草): Lithospermum officinale L. subsp. erythrorhizon (Siebold et Zucc.) Hand.-Mazz.