オシロイバナ[季節]

昨年、英国に住んでいるbloggerの方から、お店(園芸店?)でfour-o'clockの種を購入をして育てているとのmailをいただいたことがある。


そのmail以来、いつかオシロイバナの記事を書こうとは考えてはいたのだが、余にも当たり前過ぎる花であることから、書くことに躊躇いをもっていた。


今週、朝の散歩の途中で斑入りのオシロイバナを見かけてカメラに写した。

金曜の夜ということもあり、海外のサイトを覘くいているときに、「four-o'clock」の画像をみかけたのを機会に、オシロイバナの記事を書いてみようと思い立った。

このブログ自体がいい加減なもので記事などと呼べるものではなく、落書きレベルなのだが備忘録として気が向いた時の更新としている。

海外のサイトで見かけるオシロイバナであるが、日本国内で帰化をし自生しているものとは微妙に違うような気がする。

昨年来、英国の彼女の体調がよろしく無いようで、今年の春先から夏まで一時日本に帰国をしていた。

今はだいぶ良くはなったようで、英国に戻っているようなのだが、庭の手入れまでは未だ手が回らないという。元気になったら一度、英国のfour-o'clock(オシロイバナ)の画像を送って戴こうととは考えている。同時に日本で野生化しているものとの違い伺ってみたいとも思っている。

http://www.whiteflowerfarm.com/31132-product.html?utm_source=davegarden&utm_medium=ppc&utm_campaign=2009+daves+garden+fall+branded

http://wallpapers.bassq.nl/Nature%20Scenes/Wildflowers/slides/Giant%20Four%20O'clock%20Flowers,%20Death%20Valley,%20California.html


小椋佳氏の「花化粧」の最後の一節に
「少女の日のように 少女の日のように 花化粧つけてみようかと」とある。この一節の前段に、舞いそびれる雪の白さ」とのと歌詞もみられることから、オシロイバナ(化粧花)のことではないかと思えてしまう。自分が子供の頃は、近所の女の子達がオシロイバナで遊んでいたのを想いだす。

小椋佳「花化粧」(YOU TUBEへリンク)
http://www.youtube.com/watch?v=RFAjv1JB6go



冬至2日前の朝の散歩で写したオシロイバナの姿である。夏盛りの頃のオシロイバナより、やさしい色合いのように感じる。

オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.)
オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.) posted by (C)ドラ猫


初夏の頃のオシロイバナである。

    オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.)
オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.) posted by (C)ドラ猫




和名のオシロイバナの由来は、胚乳を砕くと白粉状であることからである。子供時分には女の子が遊んでいたのだが、現実にオシロイ(白粉)の代用品として用いたとも言う。


          この実から白粉が出来た・・?
この実から白粉が出来た・・? posted by (C)時 正宗



オシロイバナの別名であるユウゲショウと言う名前の由来は、夕方から花開することからである。英名の four-o'clock も同じ理由からであると推察される。


ケショウバナの名前が出たので、関連としてユウゲショウにも触れておこうよ思う。

ユウゲショウ(夕化粧)は、アカバナ科の植物で、オシロイバナとは別の植物である。が、ユウゲショウも名前が示すように夕方の咲くものが多いのであるが、最近は日中でも咲いているものがみられる。当初は赤い花のものがほとんどであったのだが、最近は白花もみられる。それ以外に、赤花と白花の交雑種のような薄くピンクの色がついたものも見かけるようになっている。


アカバナ(赤花)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton) posted by (C)ドラ猫



(赤花+白花)
         ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton) posted by (C)ドラ猫



シロバナ(白花)
    ユウゲショウ(Oenothera rosea Ait.)
ユウゲショウ(Oenothera rosea Ait.) posted by (C)ドラ猫


開花時期に関しては、夏から秋だという。しかし、開花時間に関しては「午後4時頃から咲く」とされたものが多いのである。これは、英国での”four-o'clock”を意識し過ぎているのではないだろうか。現実の開花時間となると真夏は、もう少し遅い時間から咲き出すようである。

本来この類の花は、気温が高い日より低い日の方早い時刻から咲き出す。と同時に天気も晴れた日より曇りや雨の日の方が早い時刻に開花すると言うことも考慮をしておくべきであろうか。

開花時間が花の名前となっている植物は、それほど多くはないと思う。、開花時間が花の名前とされているものを順番に載せてみようと思う。

もっとも何種類か存在をしている中で、未(ヒツジ)の刻(午後二時前後)に開花をするヒツジグサは、かなり特殊というか律儀な花であると思える。ほとんどの草花は、天気や気温に対して開花時間が変わるというものが多い。


先にも書いたのであるが、「気温が高い日より低い日の方早い時刻から咲き晴れた日より曇りや雨の日の方が早い時刻に開花」をするとい具合である。

ところが、この花(ヒツジグサ)は、天候に関係なく咲くようである。画像はお借りしたものなのだが、水中でも咲いているのである。これは雨降りでも何の問題もなく咲くという事である。

通常、雨降りの日だと開花時間が狂うものが多く見かけられる。これは、受粉との関係であろうと思えるのであるが、ヒツジグサだけは、生真面目な性格だといえようか。

ヒツジグサ3
ヒツジグサ3 posted by (C)あっちゃん6331


もっとも、「4時から咲く花」があるのだか「3時に咲くもの」や「5時に咲くもの」もあるだろうと言い出す方も居られると思う。

三時くらいから咲くという意味から、サンジカ(三時花)と呼ばれているハゼランというものがある。この花の新芽や若葉は食べられることでも知られている。

          ハゼラン(Talinum triangulare (Jacq.) Willd.)
ハゼラン(Talinum triangulare (Jacq.) Willd.) posted by (C)ドラ猫



ここまで、午後2時(未草)、午後3時(サンジカ)、午後4時(four-o'clock)と続いた。次は5時であるが、ゴジカという花がある。と喜んではいけないのである。これは「五時花ではなく、午時花」となる。

ゴジカ
ゴジカ posted by (C)ciba


ここで、オシロイバナに戻ろう。

オシロイバナは、漢名で「紫茉莉」とさてれ紫茉莉科ということになる。「茉莉」の音読みは「マツリ」であるが紫の茉莉ということであろう。茉莉(マツリカ)は、マツリカ(茉莉花)つまりモクセイ科のジャスミンをさすのであるが、これは香りではなく花の形からであろうか。

日本では、一般には当て字で「白粉花」と書かれる場合が多いようであるが、自分は「化粧花」を好んで使う。

マツリカの画像がないので、ハゴロモジャスミンの画像を載せておく。

         ハゴロモジャスミン (Jasminum polyanthum Franch.)
ハゴロモジャスミン (Jasminum polyanthum Franch.) posted by (C)ドラ猫



オシロイバナの基本色は赤だと言われている中で、中国では紫茉莉されていることから紫と色彩感覚なのだろうか。
人種や虹彩の色の違いだけではなく、生活環境や教育環境の違いで色彩感覚の違いが起こるとは言われているのであるが。
それとも、実際に日本のオシロイバナと中国のオシロイバナの色は基本的に違うのであろうか?

花弁の色の話が出たついでに言うとオシロイバナの花は花弁はではなく萼の色ということにあなる。つまり花だと思って見ている部分は花ではないということである。

つまりは、萼の色が一定ではないことになる。

湘南では白が毎年一番先に咲くように思える。(白い萼のものが目立ちはじめると表現をした方がいいのであろうか)

オシロイバナが色々な色になるのは、「不完全優性」からだとは思うのだが、トランスポゾンやDNAという言葉の世界になってしまう。

遺伝の話は、「親が呑ん兵衛なら子も呑ん兵衛」という程度の話しか興味がないので、この話は立ち入らないこと押します。


APG植物分類体系・クロンキスト体系・新エングラー体系でも、このオシロイバナ科は存在をするのであるが、新エングラー体系では、アカザ目に入れられているのであるが、ほかの2体系では、ナデシコ目となる。

江戸時代に南米(ペルー原産という説もある)から移入をされたとされている。移入時期に関しては、久内清孝・ 帰化植物(1950)や長田武正・原色日本帰化植(1976)物図鑑にも記載が見られることから、古くから帰化をしていたと思われる。

もっとも江戸時代の移入にも2説あり、一説に1600年頃、一説に宝永年間(1704-1711)というものである。

オシロイバナ科で帰化植物とされるものには、オシロイバナ、ベニカスミ、タチナハカノコソウ、フタエオシロイバナの名前が見られるのだが、「ベニカスミ」だけは、YListでは名前を見つけられなかった。

ブーゲンビリア属もオシロイバナ科には含まれるのだが、ブーゲンビリア帰化植物のリストには載っていないのはなぜであろうか?


Mirabilis jalapa L.  オシロイバナ 標準 
Mirabilis jalapa L. f. dichlamydomorpha (Makino) Hiyama  フタエオシロイバナ 標準 
Mirabilis longifolia L.  ナガバナオシロイバナ 標準 
Mirabilis nyctaginea (Michx.) MacMill.  イヌオシロイバナ 標準 
Bougainvillea spectabilis Willd.  イカダカズラ(ブーゲンビリア) 標準 
Boerhavia erecta L.  タチナハカノコソウ 標準 
Nymphaea tetragona Georgi  ヒツジグサ 標準 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年11月6日).