楓[季節]
木に風と書いて「*カエデ」と読ませている。
ところが本来は「*楓」と書いてマンサク科の「フウ」をさす言葉だと知る人間は少ないように思う。
「フウ」外来種リストによると1727年に中国から移入をされたとされている植物で学名は下記のようである(YLIST)
楓 (フウ) :Liquidambar formosana Hance (保育社・原色日本植物図鑑)
(モミジバフウ):Liquidambar styraciflua L. (アメリカフウの別名あり)
中国では秋を彩る樹木とされているようだが、何時の時代に日本のかえでに「楓」の文字を使用をするようになったのだろうか?
殆どの図鑑や本には、「*カエデ」は、葉の形が蛙手(かへるで)に似ているところからと記されている。
「かへるで」が「かへで」と転訛したものとする説である。
「*かえで」は、カエデ科(Aceraceae)カエデ属 (Acer)の植物の総称でモミジは、その通称のことである。
紅葉 3 posted by (C)ドラ猫
「もみじ」という言葉は、奈良の平城京時代に用いられた言葉と聞く。
秋に葉が赤や黄色に色付くことを「もみつ」という言葉で表したとされ時代ごとに「もみづ→もみぢ→もみじ」と変化をしてきたようだ。
万葉集には、「紅葉」と書かれたものは少なく多くは「黄葉」で表されているが、僅かながら「蛙手(かへるで)」とされるものがみられる。
「黄葉乃 過麻久惜美 思共 遊今夜者 不開毛有奴香」 (大伴家持)
「もみちばの、すぎまくをしみ、おもふどち、あそぶこよひは、あけずもあらぬか」
「吾屋戸尓 黄變蝦手 毎見 妹乎懸管 不戀日者無」 (田村大嬢)
「わがやどに、もみつかへるて、みるごとに、いもをかけつつ、こひぬひはなし」
日本には26種の自生種が存在をしていたようだが、園芸書を見ると園芸種もあるようだ。