ハチス(蓮)[季節]

野生化をした蓮を見かけたことがあるだろうか記憶を辿ってみた。子供の頃にかすかに記憶があるような気がしたが、はっきり断定はできない。


どこの、町や村ににも沼や池があった記憶があるのだが、最近は手付かずの小さな池や沼は見かけることは皆無に近い。何処からこんなに湧いてくるのだろうと思えるくらいの鮒が釣れたり、沼や池で水中昆虫を獲った記憶がある。その頃見たのは、ヒツジグサだったのだろうか。


蓮の葉は、墓参りの季節は間違いなくお目にかかる。近くでレンコンを栽培をしていた記憶はない。
野生(帰化)の北限は、宮城県とも聞き及ぶがどうなのだろうか?


大賀蓮は、千葉の検見川の草炭を燃料不足のおり、偶然にも丸木舟を発見をしたことからの発見であるが、縄文期には蓮が日本に持ち込まれていたことを示すものとされたが、その後の正確な時代を測定をしたところ、弥生時代以前(弥生後期とされた記述もある)とされた経緯がある。最近は、あちらこちらで大賀蓮の子孫が観られる。


蓮の原産地がインド亜大陸とその周辺とされる期日を見かけるたびに、弥生時代前に、日本にどのように持ち込まれたのか不思議に思う。まして行田蓮に至っては3000年前という時代まで遡ることになる。


当然、万葉集でも詠まれているのだが、花を詠んだものではなく、葉を詠んだものように思える。(現実にそのような解釈されているようだ)


「勝間田の、池は我れ知る、蓮なし、しか言ふ君が、鬚なきごとし」


新田部皇子が勝間田の池を詠んでいることから、天武天皇または、新田部皇子の居住地の近くに存在をしたものと推察される。

もっとも古くは、「古事記」にも載せられている。
「日下江の 入江の蓮は花蓮 身の盛り人と羨しきろかも」
(今の東大阪の稲田なら、自分の会社の.......)



スイレンを含んだハスの総称をサンスクリット語で、パドマ (蓮華)とよび、その中には、下記の5種存在をするとされる。蓮華は、蓮(本来は実・または葉)の華という意味。
カマラ (紅蓮華)
プンダリーカ (白蓮華、芬陀利華)
ウトパラ (青蓮華、優鉢華・優鉢羅華)
ニーロートパラ (青蓮)
クムダ (白睡蓮、日本では未草・ホワイト ポンド リリー、黄蓮華?)
このうち、仏典では白蓮華、紅蓮華、青蓮華、黄蓮華が登場するが、青蓮華と黄蓮華は睡蓮だという。


しかしBGPlants(YList)では、下記の2種となる
Nelumbo lutea Willd.  キバナバス 標準 
Nelumbo nucifera Gaertn.  ハス 標準 


ハスの別名ハチスは、果托の形からとされる。
ハスの区別の仕方には、次のような考え方もある。
花蓮:花を観賞するためのもの
藕蓮:レンコンを採るためのもの
子蓮:実を採るためのもの
呼び名は違うが、同じもの。


蓮は、本来実をさす。
漢名の別名では、荷花、芙蓉、水芙蓉とあり、荷花の荷は葉をさし、芙蓉は花をさす。
ハスの花を芙蓉とし、フヨウ(芙蓉:Hibiscus mutabilis L.)は、ハスの花に似ていることからとされる。
そこから、ハスは「水芙蓉」、フヨウは「木芙蓉」としたものを見かけたこともある。

蓮華草は、蓮の花に似ている草であるとの意味なのだが、似ているといると言われれば似ているし、似ていないといわれれば?




ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.)
ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.) posted by (C)ドラ猫




ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.)
ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.) posted by (C)ドラ猫



米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年7月19日).